「くじら給食レシピ」とは?
日本が商業捕鯨を中止した1988年から現在にかけて日本人は世界の様々な食材や料理法を取り入れ、世界にはない全く新しい料理を生み出してきました。
一方で日本の学校給食における鯨肉料理は「竜田揚げ」や「くじら汁」などの提供が多く、日本の伝統食や郷土料理として語られ、50年以上レシピは大きく変わっていません。
現代の食文化に合ったレシピ、子どもたちが純粋に「おいしい、食べたい」と思える鯨肉料理を学校給食で提供することは、日本の伝統的な食文化を守ることと同じくらい大切であると考え、現代の食文化に合った新しいクジラ給食を作ることを目的に本企画は生まれました。
その後、世界の料理人1000人に選ばれたアル・ケッチァーノの奥田政行氏を中心に本企画に賛同する鯨肉に詳しい料理人が集まり、日本の伝統食と世界の料理を組み合わせた「究極のクジラ料理フルコース」を考案し、文部科学省の学校給食摂取基準に則って食材や調理法を変えた「くじら給食のレシピ」が奥田シェフの監修で完成しました。
学校関係者の皆さま、2019年に商業捕鯨を再開した日本の現代の食文化に合った新しい「くじら給食のレシピ」をぜひ学校給食にご活用ください。

奥田シェフのメッセージ
私はもっと学校給食に鯨肉料理を増やして欲しいと考えています。
鯨肉は日本の食文化を語る上でなくてはならない食材ですが、日本で鯨肉を扱う若手料理人が増えていないことを危惧しているからです。
理由は沢山あると思いますが、鯨肉が日本人にとって「食べ馴染みのない食材」になっていることも大きな要因であると考えています。
食べ物の好き嫌いは口にした瞬間に決まりますが、きっと現代で最初に鯨肉を食べる機会は学校給食でしょう。
この瞬間に「おいしい、食べたい」と思ってもらえるかが未来の鯨食文化の鍵であると私は考えています。
鯨食の最盛期に比べて現代の日本人の味覚は複雑になり、食文化は多様化しています。
逆に、昔はなかった調味料で、昔はできなかった料理を創ることも可能になりました。
「おいしい、食べたい」から「食べ馴染みのある食材」となり、若手料理人が増えていく好循環を生むために、私は鯨肉の学校給食普及に尽力できればと思っています。
アル・ケッチァーノ 奥田政行

奥田政行(おくだ・まさゆき)プロフィール
1969年 山形県鶴岡市生まれ。高校卒業後に上京し、イタリア料理、フランス料理、純フランス菓子、イタリアンジェラートを修業。2000年に日本の在来野菜や地産食材を使ったイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」を独立開業。2006年にイタリアにて「世界の料理人1000人」に選出される。2012年にローマ法王ベネディクト16世、ダライラマ14世に謁見し、日本食の振興を行う。2014年にユネスコ創造都市ネットワーク食文化部門の鶴岡市認定に貢献。2020年に日本の食文化振興への貢献が評価され「文化庁長官表彰」を受賞。グルマン世界料理本大賞にて2017年に著書「食べもの時鑑」2022年に著書「パスタの新しいゆで方 ゆで論」がグランプリを受賞。その他受賞歴、著書多数。専門学校の講師や大学の客員教授を歴任し、若手料理人の育成にも取り組む。
